幕末・文久2年(1862年)の江戸城を中心とした江戸の街の鳥瞰図です。水と木々が豊かな美しい江戸の、明治維新によって街が変わっていく直前の最後の様子です。

江戸城図(幕末)-全体図 立川博章画
江戸鳥観図 「江戸城図(幕末)」 立川博章画

江戸城が図の中心にあり、江戸城の周りを渦巻き状に御堀と川が囲んでいます。堀をまたいで江戸城に入る箇所には桝形の御門(呉服橋御門、赤坂御門、外桜田御門など)があり、城の防備を固めています。
画面右を縦(南北)に流れるのが大川(現在の隅田川)で、大川の河口に石川島、佃島が見えます。大川の右(東)に本所、深川が見えます。図の上を左右(東西)に流れるのが神田川です。画面左端(西)の御堀には半蔵門、左下が溜池。下が霞が関、虎御門、日比谷御門辺りの大名屋敷になります。

呉服橋御門の内側に北町奉行所(図の中央よりやや右)があり、数寄屋橋御門の内側(図の下中央)に南町奉行所があります。

拡大図を表示して地名を見ていると、今は無い「南呉服町」「具足町」「南鋸町」「南塗物師町」など、そこにいた人達の職業が想像できる町名も沢山見つかるでしょう。現在の東京の地名をご存じの方は「神田明神」「日本橋」「八丁堀」「神楽坂」「新橋」などの見知った名前も沢山見つかると思います。

日本橋近辺は「日本橋図」で解説を書いていますので、ご覧ください。

鳥瞰図・拡大画像の場所説明について

拡大画像を開いてから、「場所説明ON/OFF」ボタンで場所の説明を表示または消去することができます。

立川氏は鳥観図と同じサイズの解説図を描いていますが、Web画像でご紹介するには詳細情報が多く文字が細かくなってしまう、鳥瞰図に重ねて表示できるように簡略化して作成し直しています。場所の説明文字は以下のように色分けしています。

黄色: 地名、町名、川の名等
緑色: 商家、町屋敷等
水色: 御公儀の屋敷、大名屋敷、武家屋敷
桃色: 寺社
赤色: 遊興場所

【大名屋敷の表記】
大名屋敷は「国名 + 藩名 + 藩主名殿」と記載しています。(例:「三河岡崎藩 本田殿」「筑前福岡藩 黒田殿」)
大名家が松平姓を賜っている場合は「国名+判明+家名+松平殿」と記載しています。(例:「因幡鳥取藩 池田家松平殿」)
文字のスペースが不足する場合、松平姓を賜っていても「国名 + 藩名 + 藩主名殿」と表記する場合があります。

屋敷の記号は以下で示しています。
㊤:上屋敷 / ㊥:中屋敷 / ㊦:下屋敷 / 記号無し:拝領屋敷、居屋敷、その他