文久2年(1862年)の江戸城から南方の品川の南側、西側の、「城南図その一」の南側の鳥瞰図です。

城南図その二
江戸鳥観図「城南図その二」 立川博章画

【御砲台】
江戸入江(東京湾)には、御殿山御砲台場と海上の御砲台場が見えます。御砲台は外国船の襲来から江戸を護るために作られ、砲台が置かれました。
外国船は喫水が深い外洋船なので、浅い江戸湾には進入できなかったので実際にこの砲台が使用されることはありませんでした。
現在は「お台場」として名前と一部の埋立地が残っています。

【名所】
「御殿山」は、太田道灌が江戸に城を造る前(1460年頃)の居城でしたが、江戸時代には桜の名所でした。

【品川宿】
「品川宿」は、江戸から東海道をくだる最初の宿場として栄えました。品川宿にも遊郭がありましたが、江戸幕府公認の遊郭は江戸では吉原だけで、それ以外の遊郭は岡場所として呼ばれました。その南の「海晏寺」は紅葉の名所として知られていました。

海岸から少し湾側に「海苔ひび」(海苔の養殖に使う枝木)があり、このあたりで海苔が養殖されていたことがわかります。
この辺りでとれた海苔は、浅草で「浅草海苔」として売り出されて有名になりました。

この図の外側になりますが、図の一番南の大井宿の南に鈴ヶ森刑場がありました。

参考

この鳥瞰図のあたりの名所の錦絵は、国立図書館デジタルコレクションで見られます。
以下の地名をクリックすると別タブが開いてみることができます。